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自然科学
「ウルシバラニウム」でも書きました「113番元素」の発見現場、埼玉県和光市の理化学研究所に2月に行ってまいりました。
この建物の中が、まさに現場の仁科加速器センターです。
新元素は、既知の原子核と原子核を融合させて作ります。
原子核は陽子によるプラスの電荷を持つので、それらを近づけ融合させるためには大きなエネルギーが必要です。
そこで必要なのが原子核を加速する
加速器
なのです。
今回の113番元素は、亜鉛(原子番号30)を加速器で加速し、ビスマス(原子番号83)にぶつけて作ります。
加速器周囲は放射線管理区域なので、靴にはカバーを付けて入ります。
これが超電導コイルリングサイクロトロンです。
サイクロトロンは物理で習う加速器の一種です。
超伝導コイルを使っているので磁場が大きく、より強力に加速できます。
この部屋の大きさは高校の体育館ぐらいです。そこに一杯にドーンと入っておりました。
この装置に使われている鉄の量は8000トンで、これは東京タワー全体よりも多いのです。
。
しかし私がこの装置を見た印象は「小さい」でした。
強力な加速器といえば筑波の「KEK」(1周3キロ)、スイスの「CERN」(1周27キロ)
という山手線レベルの加速器を想像していたからです。
質問しましたところ、「加速する目的が違う」とのことでした。
理研のこの装置は、新元素合成用。
その速さは核融合が起こるレベル(光速の数十パセント)でいいが、とにかく大量の原子核を「ドバドバ」注ぎこむことが目的。
「KEK」や「CERN」は、極微の世界探索用。
ごく少量の電子や陽子を、ほぼ光速まで加速することが目的。速ければ速いほどより細かい世界が「見える」のです。
この装置で「ドバドバ」と24時間365日原子核をを注いで、10年以上の歳月をかけて3個の113番元素の合成に成功したのです。
「たった3個」と思われる方もいらっしゃいそうですが、それだけ新元素の合成は困難なことなのてす。世界中の研究所がその発見に血眼になっている新元素。今回の快挙はアジア初、これまでの欧米完全独占の牙城を崩し、さらに119番元素やその先を目指し世界最強の新元素合成装置となっているのです。
肝心の新元素の名前についても質問しました。「未だ全然決まっていない」とおっしゃっていましたが、少し「誘導尋問的」に質問しましたので、あくまで想像ですが私の中では何個か候補ができました。
候補順に
1国の名前
2研究所の名前
3日本の物理学者の名前
1はジャポニウム(例 ゲルマニウム)
2はリケニウム(例 ドブニウム)
3はユカワニウム、ニシナニウム・・・(例 アインスタニウム)
果たしてウルシバラニウムは・・・